昔のセンスを今に活かす

古本を読んでいるとノスタルジックな想いに浸ることがあります。それは、当時の写真だったり、挿絵だったり、言い回しだったり、字体だったり、装丁だったり、さまざまなものから受ける印象に対する想いです。そんな想いから湧くインスピレーションは、現代さまざまな場面で活かすことができます。

現代は電化製品の発達や、コンピューターによって、暮らしが便利になりました。いろいろなことが便利になった現代ですが、不便なことに対し工夫をこらして行っていたひと昔前の生活の知恵はまだまだ使えることばかりです。その知恵を活かせば、さらに便利な道具を作り出せるかもしれません。あとり文庫では暮らしに関する古本を多く扱っています。そうした当時の暮らしがわかる古本から、現代でも活かせる知識が学べる機会でもあります。

ファッションは、流行りすたりが激しいものです。1年ごと、季節ごとに流行のスタイル・カラー・素材などが変わります。そして「流行は繰り返す」と言われています。古本で昔のファッションに関する本を見て素敵だなと思うことも多いのではないでしょうか。「全体のレトロ感」そのものが素敵だと思うのもあれば、部分的なディテールを取り入れることで今の時代に受け入れられるテイストにできるものも多くあります。趣味や仕事で服を作る方は、洋服のデザインや色使い、素材の使い方など、古本から湧いたインスピレーションを活かせば、懐かしく、それでいて新しい「今」の時代にマッチした素敵な服が作れるでしょう。

科学的な証明など行わなくても、「これをこうしたらおいしくなる」と受け継がれてきた料理方法が紹介されている料理本は、最近の料理本以上に役立つものです。昔ながらの調理法やレシピ、美味しく仕上げるポイントを知ることで、最近の料理本で紹介されているレシピがさらに美味しくなることでしょう。食生活の乱れが問題視されている現代、ひと昔前の料理を見つめ直すことでこれからの食生活にいい影響を与えてくれることでしょう。

お芝居や映画、ドラマ、本などを作る人は、時代設定がある場合に当時どのようなファッションが流行っていたのか、どんなことが流行していたのか、どんな食事をしていたのかなど、古本から知ることができます。時代物の舞台や映画を作る場合、その時代背景・時代考証がきちんと表現されていると臨場感のあるものになるでしょう。話の内容設定もその背景を知った上で作ったものは、興味深いおもしろい作品になるはずです。古本で時代の細部を知れば、そこからインスピレーションが湧き、作品作りの役にたつかもしれません。